姿は見えずも聞こえてきた鳥のさえずりに浅い眠りから起こされたはゆっくりと体を起こす。

シーツが擦れる音がやけに大きく聞こえるなぁと、寝ぼけた頭に浮かんだ違和感について考えてみた。

「こんなんだったけ、、一人で寝るのって・・・」

隣に居るべき人がいないのがこれほど変なことなんだと実感してしまった。









either way







「朝から湿気った顔すんなよなぁ

宿屋の一階で呆れたように腕を組んだのはヴァン。

「・・ん・・〜?」

今回の討伐メンバーが顔を揃えて朝食を取ろうと席に集っているところだ。
は二度寝も出来ず誰よりも先に起きてテーブルにつき、
さっきからずっと頬杖をつきながら窓から入る陽を目を細めながら受けている。

「おーい、ってば!」

「おはよ・・ヴァンとパンネロ」

と生返事で答える

何か余計な事を言おうとしたヴァンに気づいて「野暮なこと聞かないの!」とパンネロが止めに入っていた。
きっと答える方が野暮かなと思ったけど、答えておくことにしよう。

「・・・多分ちょっと違うと思うから、補足しておこうかな」

「え?ご、ごめんなさい。そんなつもりじゃなくって」

「寝不足なだけだから」

「やっぱそうじゃん」

「やっぱじゃなくて違うの」

「何がだよ、バッシュがいないからだろー?」

「淋しくって一人じゃ寝れなれない〜!とはちょっと違うわね」

ふぁ〜と開いた口元を手で隠して涙目のまま話し続ける

「簡単に言えば枕が変ると寝つきが悪いみたい」

「枕??どこだって同じだろ」

やっぱり的な返事に小さく溜息を吐きながら、
テーブルに置かれたメニュー表には目を移した。

「パンネロ何食べよっか」

「えっと、サラダと・・」

と、二人に省かれたことが癪に障りなおも枕の話しにくいつくヴァン。
例え話を出してもそれが上手く伝わるだろうか・・・・。
かと言ってナゼナゼ星人と化した相手をあしらうのも大変だ。

「何でか教えろよなー、ケチ」

「後悔するかもよ?」

「する訳ないじゃん」

「あ、言ったな。じゃあ説明するわよ」

食べようとしていたパンを皿に置き真面目な顔になる

「まず始めに、ヴァンからみてパンネロとアーシェは同じ仲間よね?」

「当たり前じゃん」

「二人とも女の子でしょ?」

「まぁ一応・・・ドッ――うぐッ」

無言の肘鉄を食らわせたパンネロが話の続きをに催促する。

「それで??」

「たとえ同じくくりに入ったとしても、個としてはパンネロとアーシェは全く別人でしょ」

「そりゃ。。。そーじゃん」

「だから誰かってだけで変わるじゃない」

不服そうに眉を寄せるヴァン。

「何だよその終わり方・・・・・例えになってないし」

「そう?合ってると思うけどなぁ」

と、コーヒーを飲む
パンネロもいまいちピンと来ないのか首を傾げる。

「じゃあさクイズを出そうか?面倒だから簡潔に」

「えー、どうせ変なクイズだろ」

「えっーと、枕は枕でも体の一部でしてくれる枕は何でしょう??」

「――っはぁ!?」

直球すぎるクイズに声が裏返ったヴァン。

「はぁ、ってそれが答え?」

「違うって!あーあ、・・・アホらし」

「答えは?」

「腕枕じゃん」

は人さし指を重ねてバツをつくってみせる。

「ブー、腕枕じゃありません。残念ハズレ」

当然のように答えを尋ねてくるヴァンを手をこまねいて引き寄せ、
バツをつくっていた片方の指先を相手の体の一部に押し当てた。

「な、何すんだよいきなり!!変態!!」

「正解はここ」

指したのは、腕の付根近くで鎖骨の下の方

「言うなれば胸枕かな?」

腕枕の延長だった答えも結局バッシュが居ないから恋しいだけじゃん。。。と思ったが、
もはや言い合う気力すら薄れるほどの惚気に今度はヴァンが溜息を吐いていた。





「ご飯も食べたし、早いところ終わらせて帰りましょ」

「賛成・・・」